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お世話になります。ガジェットブロガーのちびめがね(@chibimeganecom)です。
Huion Kamvas Slate 11をご提供いただきました。
2025年4月21日に発売された、Huion製の液晶ペンタブレット(Androidタブレット)です。
Huion(フイオン)は、2011年に中国・深圳で設立された、ペンタブレット、ペンディスプレイ、ペンコンピューターなどのデジタルインク機器を設計・製造する企業です。多様なニーズに応える高性能デバイスを手頃な価格で提供することを企業ミッションに掲げています。また、独自の研究開発能力を持ち、EMR(電磁誘導方式)技術に基づく入力デバイスをはじめ、企業向けソリューションや教育分野にも展開しているメーカーです。
ペン入力に特化し、PCがなくてもすぐに絵を描ける手軽さと、液タブらしい描き心地を両立した1台。
市場想定価格49,999円と、iPadやWacomのような高価格帯モデルと比べ、コストを抑えつつ本格的なデジタルイラスト制作が可能な製品として注目を集めています。
果たして実力はどれほどのものなのか?本記事でKamvas Slate 11を実際に使ってみた様子を詳しくレビューするので、購入の参考にしてください。
メリット | デメリット |
・持ち運べるサイズ感 ・マットガラスディスプレイ ・リフレッシュレート90Hz ・困らない動作性能 ・スタイラスペン付属 ・快適な描き心地 ・ステレオスピーカー ・SDカード対応 ・付属品揃ってる |
・ペン精度が不安定 ・Widevine L3 ・イヤホンジャックなし ・SIMカード非対応 |
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Kamvas Slate 11のデザイン・サイズ・付属品
まずはKamvas Slate 11の外観・付属品をチェックしていきましょう。
デザイン
Huion Kamvas Slate 11にカラーバリエーションはなく、落ち着いた印象のダークグレーです。
光沢の少ないマットなメタリックカラーなので指紋が目立ちにくいのがGOOD。
同じようなAndroidタブレットを何台も使ってきましたが、Kamvas Slate 11は特に指紋が付きにくく質感も良好。どこか高級感すら感じました。
下部には各種認証が表示されたシールが貼ってあります。技適マーク・PSEマークもあるので念のため剥がさないで使用しましょう。
上部にはカメラユニットを搭載。1,300万画素のメインカメラのみの単眼構成です。
飛び出しは実測で2mmほど。ケースを装着せずに使うとそれなりにガタつきます。
右側面にはスピーカー・USB Type-Cポート・カードスロットを搭載。
カードスロットにはmicro SDカード(最大1TB)を1枚装着可能です。
左側面にはスピーカーがあります。左右に搭載したステレオ仕様。
上部には電源ボタンと音量ボタンがありました。
スクショの撮影がしにくいかもしれませんが、3本指スライドでも撮影できるので困るシチュエーションは少ないと思います。
なお、Kamvas Slate 11にはイヤホンジャックはありませんが、USB Type-Cポートがオーディオデバイスに対応しています。
このため、3.5mmイヤホンをご利用になりたい場合には、変換アダプターを使用することで音声出力が可能なのでお試しください。
サイズ
Kamvas Slate 11のサイズは256.8×168.3×7.5mm。
縦横サイズは一般的な11インチタブレットと殆ど変わりませんが、少々厚みがあります。
重さは実測で504g。こちらも標準的と言ったところです。
通常はスタイラスペンと付属ケースを装着して持ち歩くと思いますが、それでも809gにおさまるので実用的ですね。
A5ノートよりもやや大きいくらいのサイズ感なので、サッと取り出して作業したり、メモをとったりするのに向いてると思います。
付属品
Kamvas Slate 11の付属品は以下の通り。
- H-Pencil(静電容量式スタイラスペン)
- 交換用ペン先(標準)
- 充電ケーブル
- パームリジェクションアーティストグローブ
- レザーケース
- SIMピン
- クイックスタートガイド
残念ながら充電器(ACアダプター)は付いていませんでしたが、それ以外はフルセット。
別途購入する必要がないのは嬉しいポイントです。
ケースは本体に加えてH-Pencilも装着可能。
H-Pencilが本体にくっつけば良かったんですが、残念ながらそれはできないので、付属ケースが重宝します。
ケースにはスタンド機能もあり、2通りの角度で使用可能。
ただ、窪みが浅いので、この立て方だと使っているうちにペタンと倒れてしまうことがありました。
使い方によっては頻繁に倒れてしまうかもしれないのでご注意ください。
なお、ペンを使っての作業の場合はこのように使ってあげると倒れる心配はありません。
それでも気になるようならスタンド機能がしっかりしたケースを自分で購入してもいいでしょう。
Amazonで検索>>タブレット お絵描き スタンド
Kamvas Slate 11のディスプレイ
続いてタブレットの命とも言えるディスプレイ品質を見ていきましょう。
Kamvas Slate 11は液タブとして使うことも多いので特に重要ですよね。
10.95インチ液晶ディスプレイ
Kamvas Slate 11のディスプレイは10.95インチ。
ベゼル(縁)幅は均一で約8mmと狭め。広い表示領域を確保しております。
もっと縁を狭くしたほうが広いじゃないか!と思うかもしれませんが、このくらい幅があったほうが手持ちした時に干渉しなくて良いんですよ、実は。
インカメラもベゼル内に搭載されているので遮るものがありません。
動画視聴でもお絵描きでも、広々使えるのが良いですね。
フィルムいらずで長く使えるペーパーライクな描き心地
Huion Kamvas Slate 11のディスプレイは、ナノエッチング加工を施したマットガラスを採用。
ガラスの表面をナノメートル単位で微細に削り、無数の凹凸を作り出すことで、ペン先がわずかに引っかかる独特の摩擦感を生み出し、まるでスケッチブックに描くような自然な描き味を実現します。
この細かな凹凸は光を柔らかく拡散し、蛍光灯や窓の映り込みも抑制。長時間の作業でも画面が見やすく、目が疲れにくいのも魅力です。
一般的なタブレットのペーパーライク化は保護フィルムに頼ることが多いですが、Kamvas Slate 11はガラス自体に加工が施されているため、摩耗や剥がれの心配がなく、描き心地が長期間安定します。
さらにフィルムの貼り直しや気泡に悩まされることがなく、購入直後から最適な描画環境で使い続けられるのは大きなメリットです。
フルラミネーション構造で視差を軽減
Huion Kamvas Slate 11は、液晶ディスプレイとカバーガラスを一体化する「フルラミネーション構造」を採用。
ディスプレイ内の空気層がなくなり、ペン先と画面上の描画ラインとの距離(視差)が大幅に減少し、まるで画面に直接描いているかのような自然な描き心地を実現します。
- 線とペン先のズレが目立ちにくく、違和感を抑える
- ペン操作の追従性と正確さが向上し、滑らかな描画が可能に
- 反射の抑制やタッチ感度の向上にも寄与
ちなみにフルラミネーション構造は、他社の高性能液晶ペンタブレットでも採用されている技術で、デジタルイラスト制作において重要視される仕様なんですよ。
ナノエッチング加工を施したマットガラスと組み合わせることで、視認性の良さと紙のような描き心地を両立。長時間の制作でもストレスを感じにくい快適な環境になります。
画面解像度1,920×1,200
Kamvas Slate 11の解像度はFHDを超える1,920×1,200。
液晶パネルではあるもののクオリティは良好。何を表示してもめちゃくちゃ綺麗です。
- 207PPI
- 99% sRGB
- 1,670万色
- 1000:1
スペック的に画素密度が少々物足りない感じもしますが、ドット感を感じるほどではないのでご安心ください。黒色表現も問題なく、夜景動画なんかでも綺麗に見れましたよ。
僕は購入したままの状態で特に不満はありませんでしたがカラーモードを好みに合わせて調節することも可能。また、ブルーライトを抑える夜間モードも使えました。
なおカラーモードは表示がバグってて何が書いてあるのかよく分かりません笑
そのうち修正されればいいのですが・・・。
アスペクト比16:10で作業しやすい
スペックにはKamvas Slate 11のアスペクト比の表示はありませんが、解像度から判断するとおそらく16:10。
一般的なタブレットは16:9が多いので、Kamvas Slate 11は縦方向の表示領域が広くなります。
ディスプレイサイズが違うのでちゃんとした比較ではないんですが、なんとなく雰囲気は伝わるでしょうか?
- 16:9
- 16:10
動画視聴やゲームなら16:9の方が向いてるんですが、Kamvas Slate 11はお絵描きや作業することが多いタブレットなので、16:10がピッタリです。
とは言え、16:9と全然違う!ってこともないので動画視聴も快適。黒帯もそんなに目立ちませんよね。
また、電子書籍での読書にも向いてます。
コミックは横向きで見開き、雑誌や写真集は縦向きで大きく見るのがいい感じです。
リフレッシュレート90Hz対応
Kamvas Slate 11の画面リフレッシュレートは90Hzに対応。
1秒間に最大90回書き換えてくれるので表示がヌルヌルと滑らかになります。
スマホでもリフレッシュレート120Hzに対応していることも多いので90Hzくらいじゃ驚かないかもしれませんが、大画面のタブレットこそ高駆動は活かされます。
スクロールはもちろん、H-Pencilでのお絵かきでもスムーズに動くことで体感的な動作性能が向上。
スペック以上にストレスなく快適に操作可能です。
最大輝度350nits
Huion Kamvas Slate 11のディスプレイ輝度は最大350nits。
屋内で使用するのは全く問題ないものの、屋外の直射日光下で使うのは厳しいですね。
そもそも屋外での使用は想定されてないかもしれませんが、公園でのんびりイラストを描きたいって思ってる人はご注意ください。
画面の明るさ(輝度)は、使うシーンによって快適さが大きく変わります。下の一覧表を参考に、室内や屋外、それぞれの使い方に合った明るさかどうかもぜひチェックしてみてください。
輝度範囲(nits) | 使いやすい環境 | 視認性・補足 |
---|---|---|
〜300 | 室内(暗め〜普通の照明) | 標準的な画面。室内利用には問題なし。 |
300〜500 | 室内(明るい部屋) | 明るめの室内でも見やすい。 |
500〜700 | 室内+屋外(曇天・日陰程度) | 屋外の日陰や曇天でも十分視認できる。 |
700〜1,000 | 屋外(晴天含む) | 晴天の屋外でもほぼ問題なく視認可能。 |
1,000以上 | 直射日光下(HDRにも強い) | 直射日光下でも画面がよく見える。HDRコンテンツ向け。 |
(表はスクロールできます)
視野角は広めで多少きつい角度から見ても問題なし。さすがIPS液晶。
寝る前にマンガ読んだり、動画視聴したり、ゴロ寝タブレットにもピッタリです。
動画視聴はSD画質(Widevine L3)
大画面での動画視聴が捗るKamvas Slate 11ですが、動画配信サービス利用時には注意が必要。残念ながらデジタル著作権管理方式WidevineのセキュリティレベルはL3。
NetflixやAmazonプライム・ビデオ等では、最大でもSD画質になってしまします。
Widevine L1は、Googleが提供するDRM(デジタル著作権管理)の最高レベル規格で、4KやHDRなどの高品質動画を安全に配信するために使われます。ハードウェアレベルで暗号化・復号を行う専用チップを搭載し、不正コピーや無断視聴を強力に防止。下位規格としてL2やL3もあり、デバイスの性能や用途に応じて使い分けられます。
ちなみにYouTubeであれば「1440p60」まで設定できました。
せっかくの大画面なので高画質で視聴したかったんですが、まぁ個人的には許容できる範囲の画質でしたよ。
今後のアップデートでWidevine L1に対応してくれるのを期待しましょう。
付属スタイラスペンH-Pencilの使い心地
Kamvas Slate 11を液タブとして使う場合に気になるのは、付属スタイラスペン「H-Pencil」の使い心地ですよね。
僕はタブレットでお絵描きをしないので、詳しく知りたい場合には他のレビューも参考にして欲しいんですが、分かる範囲で紹介していきます。
外観と基本機能
H-Pencilは、軽量なメタリックボディで、本体と同じようにマットなダークグレイ。指紋や皮脂汚れが目立たなくて良いですね。
ペン先にはクイックアクセスキーを搭載。ブラシと消しゴムをワンタッチで切り替えることができるので便利です。
充電式でUSB Type-Cポートを搭載。
ペンの末端部にライトが搭載されていて、バッテリー残量に応じて光ります。
大きさは実測で約15cm。重さは12gでした。
なおH-PencilはBluetoothやUSBケーブルでの接続設定が不要で、Kamvas Slate 11に近づけるだけでペン入力をすぐに始められます。
購入時点で本体とペアリング済みのため、煩雑な初期設定を省けるのも魅力の1つ。
ただし、H-PencilはKamvas Slate 11専用設計のため、他のタブレットやスマートフォンでは基本的に動作しないのでご注意ください。
筆圧感知と傾き検知の精度
4096段階の筆圧検知と±60度の傾き検知に対応し、ペンの強弱や傾きによる線の太さ・濃淡変化を正確に再現します。
さすがにH-Pencilの自重だけでは反応しないことが多かったんですが、力の入れ加減で濃淡の表現ができるのって凄いですね。
鉛筆や筆のような多彩なタッチが可能で、繊細なニュアンス表現もスムーズ。ラフスケッチから仕上げまで、幅広い制作スタイルに対応します。
ジッター(線の震え)と描画の安定性
ジッターとは、描いた線が意図せず揺れたり震えたりする現象。
定規を使って検証してみたんですが、残念ながらブレちゃうことが多かったです・・・。
手ぶれ補正を強めにした状態でも試してみたんですが、それでもジッターが出ていました。
Kamvas Slate 11は、気軽なお絵描きや色塗り用にはアリですが、線の正確さを突き詰めたい人やプロ作業には物足りないかもしれません。
ペンの反応速度と追従性
Kamvas Slate 11とH-Pecilには多少の遅延が発生していました。
他の液タブがどのくらい遅延するのかが分からないのでなんとも言えませんが、高速に動かしたりしない限りは十分使えそうな印象です。カーソルもありますからね。
ちなみに速く動かすとこんな感じに。
どうなんでしょう?遅延は激しい方なんですかね?
パームリジェクション(手のひら誤タッチ防止機能)
Kamvas Slate 11は、ペン描画中に手のひらを画面に置いても誤入力を防ぐパームリジェクション機能を搭載。
紙に描くときと同じ自然な姿勢で作業でき、長時間の制作でも安定した描画が可能です。
実際に使ってみたところ、誤反応が起きる場合がちょこちょこありました。
ただ、付属のパームリジェクションアーティストグローブを併用すれば誤作動は大きく軽減されます。てか、殆ど発生しません。
やはりKamvas Slate 11は、ライトなお絵描き用途には十分ですが、精密作業を行う上級者はこの点を理解した上で使用するのがおすすめです。
Kamvas Slate 11のベンチマークスコアと動作性能
スマホやタブレットが自分の思う通りに動いてくれるのか、ストレスを感じずに使えるのか。購入前に必ずチェックしておきたいところですよね?
タブレットの動作性能を司るのがSoC(CPU/GPU)。
Kamvas Slate 11には「MediaTek Helio G99」が搭載されております。
MediaTek Helio G99は、2022年5月に登場した4G対応のミドルレンジ向けチップセットです。高性能コアと省電力コアを組み合わせた8コアCPUに、Mali-G57 MC2 GPUを搭載し、ゲームや日常の操作を快適にこなします。6nmプロセスによる高い電力効率も特徴で、最大120Hzの滑らかなディスプレイ表示や108MPカメラ撮影にも対応しています。
公式サイト>>MediaTek Helio G99
いわゆる中華タブレットによく搭載されているSoCですね。
AnTuTuベンチマークスコア
スマホの基本性能を数値化できるのがベンチマークテスト。スコアが高ければ高いほど動作性能が優秀ということになります。
最も有名なAnTuTuというベンチマークアプリを使ってみたところ、総合スコアは405,799点、GPUスコアは65,231点でした。
2025年2月現在の最高スコアは250万点を超えている状況ですが、40万点あれば、普段使いで困らない最低限のスコアと言えます。
スマホで例えるなら、以下のエントリーモデルと同程度です。
- OPPO A3 5G:437,415
- Redemi 12 5G:414,955
- OPPO A79 5G:390,417
稀にモッサリしちゃうこともありつつ、ネットサーフィン・SNS・メール・動画視聴・電子書籍なんかでは快適。
リフレッシュレートが最大90Hzに対応していることもあって、高駆動対応アプリに限っては体感的なヌルサク感も強いです。
もちろん、ちょこっとお絵描きするくらいであれば困ることもありません。
ゲームも、テーブルゲームのようなライトなものであれば普通に遊べると思いますよ。
以下のページで、これまでにレビューしたスマホ・タブレットのAnTuTuスコアをランキング形式で掲載していますのでチェックしてください。
AnTuTu以外のベンチマークアプリでもスコア計測してみたので参考にどうぞ↓
この結果を見ても、原神や鳴潮のような重量級ゲームをプレイするのは難しそうですね。
普段使い用のタブレットとして割り切ったほうがいいと思います。
発熱は気にならない
スマホやタブレットによってはゲームなどで高い負荷がかかると発熱等の影響で性能が落ちてしまうことがありますが、Kamvas Slate 11はそこまで酷くありませんでした。
AnTuTuベンチマークを4回連続で実行しても、スコアは非常に安定しています。
Kamvas Slate 11で長時間負荷をかけるような使い方をすることもないと思いますが、発熱や動作性能の低下で悩まされることはないでしょう。
AnTuTuストレージ速度テストのスコア
AnTuTuアプリでストレージ速度もテストしてみました。
読み込み・書き込みどちらもそこそこと言ったところ。書き込みに少々時間がかかることがあるかもしれないのでご注意ください。
普段使いタブレットには珍しくRAMを8GB搭載しているのは優秀なポイント。同時作業が快適になります。
ストレージ容量は一般的な128GB。システム等に13GBほど使うので実際に保存できるのは110GBになります。
この他、最大1TBのmicroSDカードも搭載できるので、容量不足で困ることはないでしょう。オンラインストレージもありますからね。
イラストを沢山描きたいと思ってる人はちょっとご注意を。作品によってサイズは様々になりますが、場合によってはパツパツになっちゃうかもしれません。
- SNS投稿用の統合PNGやJPEG:数百KB〜数MB
- 制作用のレイヤー保持ファイル:数MB〜数百MB
- 大判印刷や多数レイヤーのデータ:1GB超 もありえる
Kamvas Slate 11のバッテリー持ちと充電速度
続いてKamvas Slate 11のバッテリー性能をチェックです。
充電速度はもちろん、バッテリー持ちの良し悪しも重要なポイント。
1度の充電でなるべく長時間使える方が嬉しいですよね。
PCMarkバッテリーテストのスコア
Kamvas Slate 11はスペック上では8,000mAhと超大容量バッテリー搭載。
ただいくら容量が多くても、すぐに充電がなくなってしまったら意味がありません。
そこでPCMarkというベンチマークアプリでバッテリーもちを検証してみました。
PCMarkは実際にスマホを動作させて100%から20%までのバッテリー消耗時間を測定しているため、それなりに信頼できる結果だと思っています。
画面の明るさを50%固定、リフレッシュレートを「高」にして計測した結果が以下のとおり。
14時間58分と優秀な結果になりました。
タブレットはスマホと違って1日の使用時間が限られているので、通常利用なら何日か充電しなくても使い続けられると思います。
なおこちらのページで、これまでにレビューしたスマホのPCMarkスコアをランキング形式で掲載していますので、参考に御覧ください。
バッテリー消費時間を実機で計測
PCMarkのスコアじゃピンとこない人もいると思うので、実際に使った場合のバッテリー消耗時間も紹介しておきます。
まずAmazon Musicでストリーミング音楽を1時間聴いた結果、バッテリー消耗は3%。
YouTubeで動画(1080P/60fps)を1時間視聴した結果、バッテリー消耗12%。
24時間一切触らずに放置でバッテリー消耗は4%。
それぞれの結果をまとめると次のとおり。
使用時間 | バッテリー消耗 | 使用可能時間(想定) |
音楽再生 1時間 | 3% | 約33時間 |
動画再生 1時間 | 12% | 約8時間 |
24時間放置 | 4% | 約25日間 |
ディスプレイが大きいせいか動画視聴はバッテリー消耗が激しい様子。ただPCMarkの結果から見ても、Kamvas Slate 11のバッテリー持ちは優秀と言って良いと思います。
充電速度は標準レベルで日常使いには十分
Kamvas Slate 11の充電速度は18Wと一般的。
手持ちの充電器をいくつか試してみたところ、スペック通り18W前後になっていました。
バッテリー残量15%からフル充電にかかった時間は約2時間。
一気に充電しようとすると時間がかかるので、こまめに充電してあげましょう。
残念ながらKamvas Slate 11には充電器が付属していません。
ただ、特別な急速充電に対応しているわけではないので、スマホの充電器なんかを代用してあげれば十分でしょう。
Kamvas Slate 11の基本機能と操作性
ここからはKamvas Slate 11のディスプレイ・動作性能・バッテリー性能以外のところを実機レビューしていきます。
OSはAndroid 14
Kamvas Slate 11のOSはAndroid 14。
殆どカスタムが加わっていない、Google PixelシリーズのようなピュアAndroid状態でした。
2025年8月時点の最新バージョンはAndroid 16なので、2世代前のバージョンです。
使用上特に困ることはないんですが、セキュリティ等からも最新バージョンに対応してくれると嬉しいですよね。
ちなみにアップデート保証については明記されていませんが、公式サイトのダウンロードセンターではKamvas Slate 11が対象に含まれています。
公式サイト>>ダウンロードセンター
最新のアップデート情報が掲載されるかもしれないのでチェックしておきましょう。
また、マニュアルも公式サイトに掲載されていましたよ。
公式サイト>>ユーザーマニュアル(日本語/PDF)
大きなカスタム要素はないんですが、起動中のアプリを一括終了ボタンが追加されているなど、ちょっとした変更はあるようです。
マルチユーザー対応
Kamvas Slate 11の特別な機能は、画面分割や3本指スライドでスクリーンショットなど最低限といったところ。
フローティングウィンドウやサイドバーはなし。アプリ複製機能(デュアルアプリ)なんかも見つけることはできませんでした。
ただ、Android標準の複数ユーザー機能だけは対応しています。
この他、Googleの生成AI「Gemini」は搭載されていました。
購入してすぐに使えるプリインストールアプリ
Kamvas Slate 11には、購入してすぐに使える便利なアプリが予め入っており、追加でソフトを探したりインストールする手間がありません。
アプリ名 | 特徴・内容 |
---|---|
Clip Studio Paint | プロも使う多機能お絵描きソフト。レイヤーやブラシが充実しており、3か月の無料体験付き。 |
ibisPaint X | 直感的に描ける人気アプリ。軽くスケッチしたい時にも便利。 |
HiPaint | Kamvas Slate 11に合わせて調整された描画アプリ。軽快な動作と自然な描き味が特徴。 |
HiNote | メモやラフスケッチ用に使えるノートアプリ。 |
(表はスクロールできます)
もちろんGoogle Playから他のアプリも自由に追加可能。お絵描きはもちろん、勉強やエンタメにもすぐに活用できます。
「箱から出してすぐ使える」のが、Kamvas Slate 11の魅力のひとつです。
カメラ性能はちょっとした記録用
Huion Kamvas Slate 11は1,300万画素のメインカメラを1つ搭載。
実際に撮影してみたんですが、画質はいまひとつ・・・。HDRも効かず、なんだかぼやーっとしてます。
ちょっとしたメモ程度なら使えるものの、Kamvas Slate 11で撮影した写真をそのまま素材にするのは厳しいかもしれませんね。
ステレオスピーカー搭載
Kamvas Slate 11は左右に2つずつ、合計4つのクアッドスピーカー仕様。横持ちで使えばしっかりステレオサウンドになります。
- 左スピーカー
- 右スピーカー
音質は中高音域を中心としたクリアなサウンド。
個人的にはもう少し低音が欲しいところですが、サクッと音楽を聴いたり動画を楽しむ程度であれば十分なクオリティです。
モノラルスピーカーに比べると、音の広がりや臨場感は明らかに優れていると感じます。
BluetoothコーデックはLDACに対応
Kamvas Slate 11には残念ながらイヤホンジャックがないので、ワイヤレスイヤホンを接続して使う人も多いと思います。
その場合に気になるのがBluetoothコーデック。
実際に接続してみたところ、以下のコーデックに対応していました。
- SBC:○
- AAC:○
- aptX:✕
- aptX HD:✕
- aptX Adaptive:✕
- LDAC:○
- LHDC:✕
SoCの関係かaptX系は全滅なもののLDACには対応していました。
このため無線接続でもハイレゾ相当の音質が楽しめます。
また、Amazonプライムミュージックのストリーミング再生では、日本オーディオ協会が求める「96kHz/24bit」出力にまで対応していることが分かりました。
Amazon Musicアプリの表示がどこまで正確なのかは分からないので疑わしい場合はストリーミング再生ではなく、曲をダウンロードした方が良いでしょう。
なお、Kamvas Slate 11にはイヤホンジャックはありませんが、USB Type-Cポートがオーディオデバイスに対応しています。
このため、3.5mmイヤホンをご利用になりたい場合には、変換アダプターを使用することで音声出力が可能なのでお試しください。
顔認証でロック解除
Kamvas Slate 11はインカメラによる顔認証に対応しています。
反応はそこそこ良好で、僅かにロック画面が表示されるものの、顔が入ればすぐにロック解除されました。
指紋認証にも対応してれば完璧でしたが、パスワードを入力するよりはずっと楽にロック解除できるので良しとしましょう。
ライバル製品との比較とKamvas Slate 11の強み
Kamvas Slate 11が他の液晶ペンタブレットや11インチクラスのタブレットとどのように差別化されるのか、そしてどのようなポイントを基準に選ぶべきかを整理します。
比較対象の選定理由
液晶ペンタブレット市場は多くのメーカーが競い合う多様な環境になっています。
特にHuion Kamvas Slate 11のようなAndroidスタンドアロン型液タブは、iPadやWacomの他、XP-PenやGaomonなど多くの中国メーカーの製品も含めて比較されることが多いため、幅広い視点で検討することが重要です。
用途や予算、使用環境によって最適な製品が異なるため、単一ブランドに絞らずに多角的に比較しましょう。
主要ライバル製品の概要
2025年8月現在の主要なライバル製品は以下の通りです。
特徴や価格帯、OSなどを比較しながら自分に合った製品を選びましょう。
製品名 | 価格(税込) | 画面サイズ | OS | ペン性能 | 重量 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
Huion Kamvas Slate 11 | 約49,999円 | 10.95インチ | Android 14 | 4096段階筆圧、傾き検知対応(±60°) | 約500g | スタンドアロン型液タブ、90Hzリフレッシュレート、ナノエッチングガラス採用 |
Apple iPad Air (第5世代) | 約80,000円〜 | 10.9インチ | iPadOS 17 | Apple Pencil(第2世代)対応 | 約460g | 多機能タブレット兼液タブ、豊富なクリエイティブアプリ対応 |
Wacom One (2023) | 約50,000円 | 13.3インチ | PC接続専用(Windows/Mac) | 4096段階筆圧、傾き検知対応 | 約1300g | 業界老舗、信頼の液タブ入門モデル |
XP-Pen Artist 12 (2nd Gen, 2023) | 約40,000円 | 11.6インチ | PC接続専用(Windows/Mac) | 8192段階筆圧対応、傾き検知あり | 約810g | コスパ重視、持ち運びやすい液タブ |
Gaomon PD1161 (2023) | 約35,000円 | 11.6インチ | PC接続専用(Windows/Mac) | 8192段階筆圧対応 | 約700g | 入門向け軽量液タブ |
(表はスクロールできます)
Kamvas Slate 11の強みと弱み
Huion Kamvas Slate 11の最大の強みは、Androidスタンドアロン型液晶ペンタブレットとして、PCに接続せずに使える点です。
MediaTek Helio G99搭載により、イラスト制作アプリがスムーズに動作し、90Hzのリフレッシュレートとナノエッチング加工のガラスで快適な描き心地を実現しています。
価格も約49,999円(税込)と比較的手頃で、初心者やライトユーザーに向いています。
一方で、Android OSのためにアプリの対応状況に制限があり、プロ向けの重い作業にはスペック面で不安が残ること、またiPadやWacomに比べてペンの遅延や精度の面でやや劣る場合がある点は注意が必要です。
Kamvas Slate 11のスペック・仕様
Kamvas Slate 11のスペック・仕様は以下のとおりです。
モデル名 | KT1101 |
サイズ | 約256.8×168.3×7.5mm |
重さ | 500g |
ディスプレイ | 10.95インチ IPS液晶 1,920×1,200 1000:1 99% sRGB 1,670万色(8bit) 350nits |
リフレッシュレート |
90Hz |
Widevine | L3 |
OS | Android 14 |
SoC | MediaTek Helio G99 |
RAM | 8GB |
ROM | 128GB |
リアカメラ | 1,300万画素 |
インカメラ | 800万画素 |
バッテリー | 8,000mAh |
充電速度 | 18W |
生体認証 | 顔認証 |
対応SIM | 非対応 |
外部ストレージ | micro SD対応 最大1TB |
Wi-Fi | 2.4GHz 5GHz |
Bluetooth | 5.0 |
イヤホンジャック | なし |
スピーカー | ステレオ 1W×4 |
防塵防水 | 不明 |
NFC | 不明 |
FMラジオ | なし |
衛星測位 |
GPS Glonass Beidou Galileo A-GNSS |
スタイラス | アクティブ静電容量式 4096段階 |
公式サイト>>仕様
GPSを含む複数の衛星測位システムに対応していますが、カーナビ代わりになるのかどうかは未検証。そもそもオフラインでは地図データが取得できないのでどこまで実用性があるかは分かりませんのでご注意ください。
まとめ:Kamvas Slate 11のメリット・デメリットと評価
Kamvas Slate 11を実機レビューしました。
最後に本記事のおさらい。メリット・デメリット・評価をまとめて紹介いたします。
メリット・デメリット
Kamvas Slate 11を買うべきメリット、購入前に確認したい注意点は以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・持ち運べるサイズ感 ・マットガラスディスプレイ ・リフレッシュレート90Hz ・困らない動作性能 ・スタイラスペン付属 ・快適な描き心地 ・ステレオスピーカー ・SDカード対応 ・付属品揃ってる |
・ペン精度が不安定 ・Widevine L3 ・イヤホンジャックなし ・SIMカード非対応 |
評価
総合評価:(4.5点/5点満点)
Kamvas Slate 11は、毎日持ち歩けるサイズ感で、イラスト制作を快適にする機能をしっかり備えたタブレットでした。
価格は49,999円と同スペックのAndroidタブレットよりやや高めですが、それ以上の価値があると感じます。
最大の魅力は、4096段階の筆圧対応ペンと紙のような描き心地のマットガラススクリーン。普段あまりお絵描きをしない僕でも、驚くほど快適に感じました。
さらにClip Studio Paintなどのアプリが最初から使えるので、届いたその日からすぐ制作を楽しめます。
SoCにMediaTek Helio G99を搭載し、普段使いから動画視聴・音楽鑑賞までスムーズ。
ペン精度(特にジッター)やパームリジェクションには改善の余地があるので、精密な線や特殊な描画を多用するなら上位モデルのほうが良いとは思いますが、趣味や日常の制作には十分です。
Kamvas Slate 11は、描くことを身近で楽しいものにしてくれる一台です。初めて液タブを選ぶ方や、持ち運び用のサブ機を探している方にもおすすめできます。